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May 2006のアーカイブ

2006/05/12 (金)

NOH

今、学会を聴講しに、奈良に来ています。

なんと運のいいことに、昨日、今日と年に一度の興福寺の薪能が奉納されていました。もちろん、行ってきました。yassie が羨ましがりそうなネタですね。
先週は3日間で6つのコンサートに行き、今週は2日間で4つの能と2つの狂言を観る。こう書いてみると贅沢な5月です。

せっかくなのできちんと書き留めておきます。

奈良市指定文化財 薪御能

【一日目 南大門の儀 (雨天の為於奈良県文化会館<元興福寺境内>)】
□お茶
お菓子と抹茶と煎茶を頂きました。担当のおば様がお茶両方出してくれました。「休憩時間じゃしないけど、今はすいてるからね。」
煎茶、こんな美味しい玉露は飲んだことがない。まさに甘露。びっくりしました。30℃で抽出するのがコツだそうで。2煎目は少し渋みが。この年で玉露の味を知るとは。やってみたい。

■宝生流能 杜若(かきつばた)
[シテ 杜若の花の精] 辰巳 満次郎
[ワキ 旅の僧] 福王 和幸
[お話] 僧たちが杜若を眺めていると花の精が登場して、藤原業平(モテモテ平安貴族)の形見を手に舞う、というお話。ほとんどが舞。
[感想] 前日仕事で3時間睡眠だったためか、花の精の舞で見事に術中に落ちました。

■大蔵流狂言 土筆(つくづくし)
[男 甲] 茂山 千五郎
[男 乙] 茂山 正邦
[お話] お散歩中に土筆を見て甲が和歌を詠んだがちょっと間違い、今度は芍薬を観て乙が和歌を詠んだがちょっと間違い、お互いに笑いものにして喧嘩になって相撲を取って若い方が勝って笑いながら去る、という、まあ、どうでもいい小話。
[感想] 笑いました。くんだりくんだり・・・ははははは。しゃくやくしゃくやく・・・ははははは。駄洒落です。滑稽を全身で表現しています。プロだ。

■金剛流能 小鍛冶(こかじ)
[前シテ 童子][後シテ 霊狐] 金剛 永謹
[ワキ 小鍛冶宗近] 福王 茂十郎
[ワキツレ 勅使] 福王 知登
[アイ 末社の神] 茂山 茂
[お話] 勅命で刀を作るように言われ、頭を抱える宗近。そこに童子が現れて稲荷へ行け、と。行くと霊狐が登場!一緒に刀を鍛えて、見事な刀ができあがり!一件落着です。
[感想] アイというのは、狂言師が演じるんですね。知らなかったです。アイのセリフだけは急にわかりやすい。貴族系の「〜候えば」とか、和歌の引用を駆使したセリフは外国語のようです。霊狐が刀を鍛える様はとてもかっこいい。そういや、春日大社の周りにたくさん宗近の刀剣屋があったなあ。

【二日目 南大門の儀 (雨天の為於奈良県文化会館<元興福寺境内>)】
□お茶
お菓子と抹茶と煎茶を頂きました。昨日と同じ担当のおば様がお茶両方出してくれました。「今日も来てくれてありがとうね。」合計5杯も飲んでしまった・・・
今日は煎茶を先に頂いた。やはり、こんな美味しい玉露は飲んだことがない。抹茶の前に飲んだからか、さらに甘露。

■金春流能 班女(はんじょ)
[前シテ 花子][後シテ 狂女] 金春 安明
[ワキ 吉田の少将] 福王 和幸
[ワキツレ 従者] 山本 順三、指吸 亮佑
[アイ 野上の宿の長] 茂山 あきら
[お話] 遊んでばかり(本当は愛する人の形見の扇を見てはため息ついてばかり)ということで遊女が働いていた宿を追い出され、狂女になってしまいます。その愛する人とは吉田の少将。彼が東から帰還して、偶然会うもののお互いに気付かず。狂女の舞をひとしきりした後に扇を見せ合って感動の再会。ハッピーエンド。
[感想] なるほど。前日に続いて「物狂い」のお話。こちらの方が感情移入しやすいので起きてられました。でも舞主体なので少しだけ術中に嵌りました。「狂女、面白き哉、舞え」など、おいおい・・・ってセリフもありましたが。吉田の少将、最初に少し喋り、その後見事に一寸も動かず最後まで座っていました。瞬きをいつしているかわからないのは凄い。鍛錬の賜物です。

■大蔵流狂言 仏師(ぶっし)
[すっぱ] 茂山 忠三郎
[田舎者] 茂山 良暢
[お話] まさに、すっぱ抜く。すっぱとは、詐欺師のようなものです。今回はニセ仏師。仏像を仏師に作って貰いたくて都に出てきた田舎者をだまして、一日で仏像を作ると。で、一日経つと、自分が仏像になっています。最後は見破られて笑いながら「許せ許せ、わはははは」と言って去っていきます。
[感想] 田舎者がどんどん怒っていく様が、からかうのって、本当に楽しいよね!という雰囲気を醸し出していていいものです。2人とももう少し滑稽な方が良かったかな。滑稽って難しいんですね。田舎者はまだ若い狂言師でした。

■観世流能 安達原(あだちがはら)
[前シテ 里の女][後シテ 鬼女] 観世 善之
[ワキ 山伏] 中村 彌三郎
[ワキツレ 従者] 喜多 雅人
[アイ 能力(のうりき)] 松本 薫
[お話] 大道具、小道具ありのまさにラストを飾る派手な能。みちのくの安達ヶ原でとっぷりと日が暮れてしまい、一夜の宿を求めると、そこには女が。女が親切に薪を山から持ってきてくれると言って外に出るも、「閨には絶対に入るな!!」と不自然なお願い。山伏と従者は約束を守るものの、能力は気になって眠れず、ついに覗いてしまう。そこには軒の高さまで達する白骨と死骸が!ひえーーと逃げると、それに気付いた鬼が、般若の面で追ってくる。山伏は祈祷で対抗し、長い戦いの末に山伏が勝つ。夜明けと共に鬼は去る。
[感想] 閨を見る直前が、現在でも怖いと思ったくらいだから、昔はもう、最高に怖かったでしょう。般若が登場する時の太鼓がもう激しくて。閨は竹でできた大道具、最初の女が廻す糸車が小道具で、雰囲気を出していました。山伏は数珠をむにゃむにゃするだけで勝っていました。強いね。堪能しました。観世流はわかりやすい、とかあるのでしょうか。セリフが聞き取りやすかったです。

いやあ、堪能。今度は外での薪能を見に来たいと思いました。いい文化です。
明日は雨ということですが、雨もまた古都には似合うのではないでしょうか。

2006/05/06 (土)

今日もラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」へ。

ミシェル・コルボ+ケルン室内合唱団+シンフォニア・ヴァルソヴィアの「ハ短調ミサ」
--> カリスマ指揮によくついていったオケと合唱団。ずれそうになりながらもまとまっていて良かったです。これ歌いたい。

トヌ・カリユステ+RIAS室内合唱団+ベルリン古楽アカデミーの「レクイエム」
--> 昨年のミサ・ソレムニスの記憶が蘇ります。うまい!何も文句がありません。満足でした。でも、この編成でAホール(5000人)じゃ、後ろの人は聞こえないだろうなあ・・・最後にふさわしい演奏でした。

この2つをメインにすえていて、おまけのつもりで取っていたのが、
エンリコ・オノフリ+ディヴィノ・ソスピロの「ハイドンヴァイオリン協奏曲第4番」「モーツァルト交響曲第40番」

これが、すごかった。
エンリコ・オノフリありがとう。ブラヴィッシモ
公式レポート「まさに「熱狂」!!オノフリ氏率いるディヴィノ・ソスピロ(バロック・オーケストラ)」
http://www.enricoonofri.it/
http://www.t-i-forum.co.jp/lfj/artist/detail/enrico_o.html


オケはポルトガル、指揮&ヴァイオリン・ソロはイタリア人。
そんな編成でハイドンとモーツァルトを古楽器で演奏したらどうなったか。

短調が地中海のオレンジとオリーブにしか見えない。

最初から最後までその勢いと情熱と集中力と笑いが途切れない古楽。そう、微笑みがこぼれるほど熱いんです。それでいて調律にはとても長い時間をかけていたり、丁寧で質も高い。最高でした。初めて、思わず終わった瞬間にスタンディング・オベーションして Bravo! と言っていました。

本人もいたくご満悦だったらしく、本当はしちゃいけないアンコール(交響曲第40番第1楽章)はやっちゃうし、オケがはけた後に拍手があまりに続くからみんなまた戻ってきちゃうし。オケが戻ってくる(しかも2回も)演奏会なんて初めてです。もう、文字通り観客総立ち。

オケのメンバー、その後にRIAS聴きにきていましたが、リュック背負ったラテンの集団でした。いいねえイタリア、ポルトガル、地中海。これが本当の音楽解釈だと確信しました。勉強はとても大切ですが、最後は理屈じゃないです。あと、ダニエル・オーレンの指揮を昔「なんて勢いだ!」と思いましたが、あれは、オーレンというかはイタリア人の勢いだったんだと理解。

熱狂の日で熱狂しました。
ああ、こんな演奏会はもうしばらく体験できないだろう・・・

DIVAOPERA,イザイ弦楽四重奏団,RIAS,ケルン室内,オノフリなど、どれも素晴しかった。この企画ができていることに尊敬。

※念のため。スペインから来ていたビルバオ合唱団はちょっとまずかったです・・・展示ホールで歌っていたのを聴いていましたが、ちょっと聞いていられなくて外に出ちゃいました・・・彼らのレクイエムはどうだったんだろうか・・・

2006/05/04 (木)

昨日、今日と、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」の目玉企画のひとつ、
DIVAOPERAのコジ・ファン・トゥッテを見てきました。

LFJ JAPAN
DIVAOPERA

20:30-23:00まで2時間半、途中休憩15分という強行スケジュール、さらに自由席ということで開演1時間前から並んで、とのんびりゆったりというわけには行きませんでしたが、3公演でたった700枚、発売して30分で売り切れたその前評判を裏切らない、オペラを3mの近さで聴く贅沢!
脳に直接声が届きます。びんびんきます。だってすぐそこでそんな大きな声を!
そして演技がとてもうまい!引き込まれました。特にデスピーナ役のシャーロット・キンダ、お色気もあり、思い切り笑わせてもらいました。
ピアノ伴奏ですが、あれだけやられると全然気になりません。むしろ、歌に集中できて素晴らしい。
アルフォンソ役のマシュー・ハーグリーヴズを初めとして、歌も安定感がありました。体に入った完全な暗譜が重要であることを再認識。

イギリス人なのに、[r] の巻きっぷりが素晴しかった。最高10回は巻いていました。小道具の移動も歌手がやっていたり、なぜか美男子の少年が運んでいたり、ラストに近いところでは本物のシャンパンをがぶ飲みしたりなど、小ネタが多くて。

2日連続で聴くことができた幸運に感謝。

いやあ、\3000はあまりに安い。熱狂の日万歳!

彼らがまた別の機会に来たら、見に行きたいです。